希望の風 ロータリー希望の風奨学金10年のあゆみ
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8 おかげさまで、私たちロータリー東日本大震災青少年支援連絡協議会は、東日本大震災で両親もしくは片親を亡くした遺児たち(大学生、短大生、専門学校生)に奨学金を給付する「ロータリー希望の風奨学金」プログラムを軌道に乗せ、現在は安定飛行に移すことができました。ご支援くださいましたロータリアンの皆さまに厚く御礼を申し上げます。 国内10地区、国外1地区の合同プログラムとして、義援金3億円を持ち寄って、2011年11月にスタートした本プログラムは、支援地区も国内13地区・1団体、国外2地区に増え、支援金もこの1年半の間に2億4,000万円を上乗せして総額5億4,000万円を超えました。 月を追うごとに被災地の遺児をもつ家庭に、その存在が知れ渡るようになり、今ではその名のとおり「ロータリーの希望の風」として温かく迎え入れられるようになっています。 親を亡くした子どもたちの家庭の暮らしぶりは、まだ「安定」には程遠いようです。厚生労働省のアンケート調査によれば遺児が暮らす家庭で家計を支える人の仕事について聞いたところ、30%が仕事に就いていません。母子家庭では半数近くがパート等の就労で、収入も少なく不安定な環境にあります。 日本の大学生・専門学校生をもつ家庭の月々の仕送り金額は平均10万円弱と言われます。この親からの仕送り分の半分を賄っているのが「ロータリー希望の風奨学金」です。残りの半分は各県育英制度が支援をしています。震災後に新聞をにぎわせた「桃・柿育英会 東日本大震災遺児育英資金」など、さまざまな遺児への教育環境支援募金は、この各県育英資金に投入されていることが多いようです。このほか、人数制限付の地域限定の小さなプログラムはいくつかあるようですが、全体として見渡しますと「ロータリー希望の風奨学金」(月々5万円給付)は進学できるか否かの瀬戸際にある多くの遺児たちにとって、その金額以上に大きな意味をもち、ある意味では決定的な役割を果たしているものと私たちは判断しています。(注1) 遺児保護者へのアンケート調査によれば、今後の支援への要望について聞いたところ「子どもたちの心や気持ちを支えてほしい」と「学習支援にかかわる活動をしてほしい」が多数を占めています。ここでも、このプログラムの確かさを見てとることができるように思います。 アンケート調査では回答しなかった家庭が33%あります。回答した家庭でも「そっとしておいてほしい」という答えが20%ありました。合わせると約半数の保護者は喪失感からいまだ立ち直っていないと見てよいでしょう。 本プログラム賛同地区内クラブの方から「クラブ近くの学校に通っている奨学生を紹介してください。例会で話を聞かせてほしい」という申し出が多く寄せられます。当方から30人ほどの奨学生に当たってみましたが「まロータリアンに支えられて2010-11年度第2790地区(千葉県)ガバナー織田 吉郎(銚子ロータリークラブ)

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